生き延びるためのラプソディ
2023.12.08(金)〜 2024.01.28(日)
制作は生活を延命している/生活は制作を延命している。生活と制作は、どちらかが欠けてしまったらどちらも回らなくなってしまうと思うことがあります。「生き延びるためのラプソディ」は、生活と制作を結びつけながら/結びつけざるを得ない状況で制作を行う4組の作家で構成されています。
前期(2023年12月8日[金]ー12月24日[日])では、病気の発覚によって、これまでの木材や金属といった彫刻的な素材を使用した制作方法を一転させ、現在はワイヤーや小さな木片など、扱いやすい素材を使用して軽やかな立体を制作している汲川洋平、ある出来事から出会った「14」という数字を起点に、「14」に従いながら平面・立体を用いたインスタレーションを制作し、「14」に縛られた生活を行っている千々和佑樹。後期(2024年1月12日[金]ー1月28日[日])では、2011年に結成したアーティスト・ユニットで、「2人」であるということを軸に、共同して映像・音・テキストなどを組み合わせたインスタレーションやパフォーマンスを制作・発表している佐藤史治と原口寛子、自身の身近で起こる出来事を起点とした個人的な違和感と向き合いながら平面・立体作品やインスタレーションの制作を行う中塚文菜が生活と制作の実践を発表します。
「ラプソディ(狂詩曲)」とは、形式が決まっておらず、楽器や演奏形態も自由、民族的または叙事的な内容を表現している様々な曲調をメドレーのようにして構成されることが多い楽曲のことを指しています。生活と制作の結びつき方は各作家によって異なりますが、本展では、生活と制作の各作家への影響や、それによって生まれる多様な表現を一つの楽曲のように紡ぎ出していきたいと思います。
※本展は、2024年5月に富山県砺波市で行われる同タイトルの展覧会に向けてのプロローグとなります。作家の日記や作品のスタディ・メモなど、作家が何を考えながら生活や制作を行っているのか、その過程をご覧いただけますと幸いです。
富山展ウェブサイト(ギャラリー無量)
https://www.gallery-muryow.com/2024ex01
a
生き延びるためのラプソディ
汲川洋平・千々和佑樹・佐藤史治と原口寛子・中塚文菜
2023年12月8日(金)〜2024年1月28日(日)
土曜日・日曜日 13:00 – 20:00/金曜日 15:00 – 20:00
[前期] 2023年12月8日(金)〜12月24日(日) 汲川洋平・千々和佑樹
[後期] 2024年1月12日(金)〜1月28日(日) 佐藤史治と原口寛子・中塚文菜
* 年末年始を除く金・土・日
* 入場無料
* 前期・後期で作品の入れ替えを行います
会場: あをば荘
住所:〒131-0044 東京都墨田区文花1-12-12
京成電鉄・都営浅草線・東京メトロ半蔵門線・東武スカイツリーライン 押上駅から徒歩14分
東武鉄道亀戸線 小村井駅から徒歩9分
東武スカイツリーライン・東武亀戸線 曳舟駅、京成電鉄押上線 京成曳舟駅から徒歩16分
企画・主催:中塚文菜
共催:あをば荘
助成:公益財団法人東京都文化財団 アーツカウンシル東京[スタートアップ助成]
デザイン:植木裕香
【ワークショップ】(予約制、定員5名)
アーティストの森田浩彰氏を招いて、あをば荘の周辺を歩いて見つけたもので造形物をつくるワークショップを開催します。
どなたでも、ぜひお気軽にご参加ください(温かい飲み物とお菓子もあります)。
*ワークショップの間も入場していただけますが、場合によっては鑑賞が難しくなる場合がございます。
12月17日(日) 14:00 – 16:00 参加費無料
⚫︎お申し込みフォーム https://forms.gle/fwG2EtiQv6PwppY4A
※定員に達したため、応募を締め切らせていただきます
【座談会】
インディペンデント・キュレーターの青木彬さんを招いて座談会を開催します。
*座談会の間も入場していただけますが、場合によっては鑑賞が難しくなる場合がございます。
12月8日(金) 16:00 – 18:00
参加者: 汲川洋平・千々和佑樹・(中塚文菜)
1月14日(日) 19:30 – 21:30 *当日は21:30までopen
参加者: 佐藤史治と原口寛子・中塚文菜
【作家紹介】
汲川洋平 | Yohei KUMIKAWA
1982年宮城県仙台市生まれ。2013年金沢美術工芸大学彫刻専攻卒業。2021年筑波大学大学院芸術専攻退学。
形と素材の関係を構造として見せる立体作品を制作している。近年は自身の病気やそれによる環境の変化から、今までの制作方法を一転し、鉄板や木材といった彫刻的で重厚な素材ではなく、細い針金や小さな木片など扱いやすい素材を用いた軽やかな作品を制作している。
主な活動に「金沢彫刻祭2013」(金沢市内、2013)、「UPRISE 彫刻二人展」(Gallery TURNAROUND、2013年)、「珍なる二人展」(Hi! Open sesami、2021年)など。また、Halal Hubの内装の一部や、くさかんむりcafeの看板を手がける(共に仙台市内)。
(左)《structure》2021 photo by 武石早代
(右)《ぐるぐる》2013
千々和佑樹 | Yuki CHIJIWA
1991年大阪府枚方市生まれ。2012年東京造形大学インダストリアルデザイン専攻入学、2014年絵画専攻転科、2017年卒業。
2019年より、黄金町アーティスト・イン・レジデンスに参加。14号カンヴァスを購入しようとした際に既製品に当該サイズがなかったことから「14」との関係が始まる。基本的には「14」を意味のないものとして扱い、しかしながら「14」に従いながら平面・立体を用いたインスタレーションを展開している。 例えば、東洋思想では、十五夜(15)を完全として、一つ足りない「14」を不完全とするが、千々和はそのような「14」と自身とを重ねているのだろう。また、実生活ではヴィーガンを実践するなど「14」に縛られた作品と同様、生活にも縛りを取り入れている。
近年の展覧会に「メドューサと14」(BUKATSUDO GALLERY、2022年)、「黄金町バザール2021」(Site-A、2021年)、「群馬青年ビエンナーレ2021」(群馬県立近代美術館、2021年)など。
(左)《マニファクチャフォーティーン》2021
(右)《怠惰なる節制のうつろへ》2020 photo by Yasuyuki Kasagi
佐藤史治と原口寛子 | Fumiharu SATO & Hiroko HARAGUCHI
2011年に結成した2人組のアーティスト・ユニット。2人というユニットを起点に、主に展示する場所や時間をモチーフ/素材とした映像、音、テキストなどを組み合わせたインスタレーションやパフォーマンス、プロジェクトを共同制作している。近年では、人や物を結び付けたり隔てたりする「あいだ」に着目し、それらを採集、編集など施した作品制作を行う。2021年晩秋に一字改名。
近年の展覧会に、「東京ビエンナーレ2020/2021」(日比谷図書文化館、2021年)、個展「ツーツー」(金沢アートグミ、2020年)など。佐藤は2012年からアーティスト・ラン・スペースを運営、原口は2022年から大阪大学大学院の博士課程に在籍し、女性アーティストのヴィデオ・アートについて研究している。
(左)《手のシリーズ》2022 photo by 間庭裕基
(右)《すべておぼえる》2021
中塚文菜 | Ayana NAKATSUKA
1993年岡山県倉敷市生まれ。広島大学教育学部造形芸術系コース卒業、筑波大学大学院芸術専攻修了。2019–2020年スウェーデン王立美術大学交換留学。
個人的な体験を糸口にし、自身が感じる違和感と地道に向き合いながら、美術制度や社会に対して問いを投げかける立体・平面作品やインスタレーションを制作している。
近年の展覧会に、「地に愛される」(OF、2021年)、「群馬青年ビエンナーレ2021」(群馬県立近代美術館、2021年)、「誰かの祈りを開いて閉じる」(タメンタイギャラリー、2023年)など。
(左)《誰かの祈りを開いて閉じる》2023 photo by 松尾宇人
(右)《インディカ米をジャポニカ米にする》2021 photo by 松尾宇人
【前期展アーカイブ|汲川洋平・千々和佑樹】
photo by 間庭裕基
【前期展座談会|12月8日】
ゲストにインディペンデント・キュレーターの青木彬氏を招き、座談会を開催しました。
前期展座談会テキストは下記からご覧いただけます
https://drive.google.com/file/d/1RtvWIMxNvMggcoSzWnlCm0031dljPdcJ/view?usp=sharing
【ワークショップ|12月17日】
ゲストにアーティストの森田彰浩氏を招き、あをば荘の周辺を歩いて見つけたものを用いてオブジェを作り、オブジェについて各自発表・講評をするワークショップを開催しました。
photo by ヒサモトタカト
【後期展アーカイブ|佐藤史治と原口寛子・中塚文菜】
photo by 間庭裕基
【後期展座談会|1月14日】
ゲストにインディペンデント・キュレーターの青木彬氏を招き、座談会を開催しました。
後期展座談会テキストは下記からご覧いただけます
https://drive.google.com/file/d/1mxGvpghfaYw_NbYUQCdwD78gu-TTYkjK/view?usp=sharing
photo by 松尾宇人