じゅうよんなはなし〈14とヴィーガン〉
2026年、あをば荘は14年目を迎えました。14といえば千々和佑樹さん。2024年に開催した展覧会「生き延びるためのラプソディ」出品作家でもある彼は、「14」をキーワードに製作をしているユニークなアーティストです。
本連載「じゅうよんなはなし」は、こちらが提案したお題に対して、千々和さんに14と結びつけて語っていただく特別企画。毎月14日と28日に更新です。14から見えてくる世界をお楽しみください。第六回は「ヴィーガン」。語り下ろしです。

14とヴィーガン
えーっと、今回のお題は14とヴィーガンです。そして偶然なのかは分かりませんが、今までのお題よりも私自身に結びついたお題です。なので今回は考えながら話すというより、思い出しながら話すという側面が強くなるのでしょうか。それは、自分は一時ある程度ヴィーガンと言えるんじゃないかという生活を送っていたからです。また、これをあんまり声高に言うのは気が引けるんですけど、現在でもいろいろ考えた上での「家ヴィーガン」とでも形容しましょうか、一人で自炊するときなど、自分だけの選択で食べるものを決める場合のみヴィーガンだよという、そういう緩やかな実践を継続しています。
そもそもなんで始めたのかというと、ちょっと疎遠になりつつある、でも変わらず私にとって大切な人がきっかけで……。ドキュメンタリー的な何かを一緒に見て、というのがあります。そしてそれが、自分の中にずっとあった「質素な食事とは何のことを指すのか」という問いへ、自然とつながったのだと思います。納豆かけご飯とか、塩だけかけたスパゲティとか、おいしいと素直に思います。では質素さとは食事において何に比例するのかと考えていた中で、動物性食品を抜くこと、これが質素な食事なのかもしれないな。そう仮定すると自分の中でなんとなく納得感があったんです。また、あと付けの理由かもしれないですが、製作において「14」というある種の縛りをつけているんだから、普段の生活の方でも何かしら縛りがあってもいいのではという思いもあった、とすればいいでしょうか。
現状のヴィーガン状況を吐露するなら、食事における考え方として、「自分が屠殺すると考えたときに、できるかできないか」というのを考えています。牛は、少し自分では厳しいというのが正直な所です。それは大きさもそうですし、他には……。明確な理由を今言語化できないことを情けなく思います。豚も、牛ほどでないにしても大きいし……。ということでできない。鳥は、実際のことを思うとものすごい覚悟が必要ですが、自分一人の力である程度制御できるかなというところで、屠殺 できる可能性があります。なので複数での外食の時などではなるべく鳥を選びます。魚に関しては、決して責任を擦り付ける意図はありませんが、父の影響で釣りをして捌いた経験があります。卵は、入手するというだけなら難しいことではありません。牛乳も、自分自身への負荷はすくないでしょう。スーパーで加工された精肉や卵、牛乳等を手に取るのだとしても、遡って最初から自分がやるとなったときに、必要に迫られたときにできるかどうか、それを基準にしています。誰かが代わりに行っていてくれるから、自分がしなくていいということにはならないよう、出来るだけ自覚的でありたいと考えています。
こんな私の「家ヴィーガン」は、もはや辞書に載っているようなヴィーガンとは全然異なるものだと自分自身でも思います。また、全部自分でやる前提で考えることから始めるという、ある種のマッチョ思想的なものと共鳴しているだけの気もします。しかしどこから、何をもってヴィーガンとするのか。何をもって 14 とするのか。そういったように、おぼろげにまた 14 への価値観形成に還元されているように感じています。
またいつものような余談ではありますが、身近な作家の方から「ヴィーガンの総画数は14だったよ」と教えてもらい、自分で気付けなかったささやかな自身への失望感とともに、……やはりもっとヴィーガンに徹しなければならないのかと、ヴィーガンのほうから言われたようで途方に暮れるのでした。
千々和佑樹(ちぢわ・ゆうき)
1991 年大阪府豊中市生まれ。2012 年東京造形大学インダストリアルデザイン専攻入学後、2014 年絵画専攻へ転科、2017 年卒業。14 という数字/記号をきっかけとして絵画を作り、物体と組み合わせることで絵画を空間的に展開している。また近年は定まっている14 だけでなく流れている14 にも着目し、これから/いま/かつてを含むすべての時間の流れの14 才へ向けての製作を思案し続けている。
主な展覧会に「群馬青年ビエンナーレ 2021」(群馬県立近代美術館、2021 年)、「黄金町バザール 2021」(site-A、2021 年)、「意図とイデアとときどき健康に」(しあわせ美じゅつ店、2025 年)など。あをば荘では、2024 年にグループ展「生き延びるためのラプソディ」(前期展)に出品。
執筆: 千々和佑樹
編集と写真: 佐藤史治(あをば荘)
編集アシスタント: Gemini
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