じゅうよんなはなし〈14と猫〉

2026年、あをば荘は14年目を迎えました。14といえば千々和佑樹さん2024年に開催した展覧会「生き延びるためのラプソディ」出品作家でもある彼は、「14」をキーワードに製作をしているユニークなアーティストです。
本連載「じゅうよんなはなし」は、こちらが提案したお題に対して、千々和さんに14と結びつけて語っていただく特別企画。毎月14日と28日に更新です。14から見えてくる世界をお楽しみください。
第八回は「猫」、語り下ろしです。

14と猫

今回の「14と猫」というお題をやることになったわけですが、まず初めに私は犬派です。それは犬を飼っていたというか、自分の言いたいように言えば、弟だったわけですけども。だから、そういった犬がいるから犬派なんですけど……。うーん、なんかこう、形容するうえでのしっくりくるものがないなと感じてしまいます。自分が製作を続けていくなかで、言葉についても自然と深く考えるようになっていくと、「ペット」っていうのはなんかちょっと違う。「愛玩動物」っていうのも、なんか人間中心主義みたいで……。「家族」というのも、それを全ての方々と共有できる言い回しだともどこか思えない。

ですがペットも愛玩動物も家族も、ハローとこんにちはの違いみたいな、それぞれに親しみ度の違いや多少の意味合いの差はあれど、指し示すものは重なっている。恋人とかもパートナーとか相方とか色々言い回しがあるけど、どれもちょっとしっくりこない……いや、それは関係性の段階で異なるだけか。

早速14に関連づけて話すならば、これはもう他の14の話ですでに言っているかもしれないけど、14というのも、ある種私は違う呼び名で行ってるにすぎないといいますか。テセウスの船のように、14を分解してすべて同じものに置き換えて、再び14にするみたいな。作品形態的に、その14を分解して構築し直すみたいなのは、これからもやっていいし、もうすでにやっているとも言えるでしょうか。14のまま呼び名を変えるみたいなことを、私はある種やっているのかもしれない。

で、猫について全く言わないで、犬に切り替えて話を続けますけども。その犬の名前っていうのが、とある野球選手の名前からもじって付けたものでもあって。その選手の背番号というのも14でした。他方で、展示の際などで14について「何がきっかけなんですか?」って聞かれたときにその選手の話をすることもあります。きっかけがその選手の背番号だっただけかといったら自分でも少しあやしいですが。実家の引き出しから出てきた小学校のテストのプリントの出席番号が14番だったとか。野球を好きになった2002年は平成14年であったとか。大学で絵画に移ったのが2014年であったりとか。自分の苗字の総画数が14画であったりとか。生まれたのが豊中市(「とよ」で14)だったり、振り返れば14に関係する出来事を探すとそれなりにあって、それらのどれが本当のきっかけだったとかは自分でも分かりません。なので聞かれたら好きな野球選手の背番号だったと消去法的に答えることがやはり多いです。

その犬の誕生年は2004年で、自分とは13才違いです。当然のように14年は生きてくれると思っていましたが、7月4日の命日は、14才になる2ヶ月前でした。でも13才と10か月で中型犬としてはすごく長生きだったと思います。人間でいえば80歳とかでしょうか。私の年齢も犬に換算したらまだ5才くらいか。プロフィール欄に「これから/いま/かつてを含むすべての時間の流れの14 才へ向けての製作を思案」と書いているけど、犬で言うと私はまだ14才にほど遠く、それまで生きれるかどうかも、ということになります。

猫はアルファベットでNEKOで、Nは14番目のアルファベットで、犬のINUも真ん中にN、14があります……ドッグとキャットやないかいと、まあそうです。その飼ってた犬、とても頑固で芯があって。大きめの中型犬で、さいごのほうは足が不自由になって歩けなくなって。でも、歩けないからこそ、ワンワンって喋って意思の疎通をすごくしてて。「ワン」と言われて「どうした」言うてね。足が不自由になったからこそ、言語でのやり取りが本当に明確にできたなという思い出があって。本当に賢い犬でした。犬年齢では14才まで生きられなかったけど、人間年齢に換算したら普通に生きとるやんけという話でもある。

そして、これから、いま、かつてを含むすべての時間の流れの14才へ向けての製作を思案し続けていると。これには当然、犬も含まれてるし、猫も含まれているよと。という感じで、14と猫、でした。


千々和佑樹(ちぢわ・ゆうき)

1991 年大阪府豊中市生まれ。2012 年東京造形大学インダストリアルデザイン専攻入学後、2014 年絵画専攻へ転科、2017 年卒業。14 という数字/記号をきっかけとして絵画を作り、物体と組み合わせることで絵画を空間的に展開している。また近年は定まっている14 だけでなく流れている14 にも着目し、これから/いま/かつてを含むすべての時間の流れの14 才へ向けての製作を思案し続けている。
主な展覧会に「群馬青年ビエンナーレ 2021」(群馬県立近代美術館、2021 年)、「黄金町バザール 2021」(site-A、2021 年)、「意図とイデアとときどき健康に」(しあわせ美じゅつ店、2025 年)など。あをば荘では、2024 年にグループ展「生き延びるためのラプソディ」(前期展)に出品。

執筆: 千々和佑樹
編集と写真: 佐藤史治(あをば荘)
編集アシスタント: Gemini

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