じゅうよんなはなし〈14と写真〉

2026年、あをば荘は14年目を迎えました。14といえば千々和佑樹さん2024年に開催した展覧会「生き延びるためのラプソディ」出品作家でもある彼は、「14」をキーワードに製作をしているユニークなアーティストです。
本連載「じゅうよんなはなし」は、こちらが提案したお題に対して、千々和さんに14と結びつけて語っていただく特別企画。毎月14日と28日に更新です。14から見えてくる世界をお楽しみください。第四回は「写真」。今回は書き下ろしです。

14と写真

写真について少し調べていたことが、いつだったかありました。その中で目を引いたのは、「Photograph」の別訳として「光画」という言葉があったことです。

外来語が翻訳されるときに日本語がどうあてがわれていたのか。写真が、生まれたときから「写真」だった私にとって、その写真という言葉は名称にすぎません。2つを比べて考えてみると、「光画」の方が、行為そのものに素直な気がしますが、一方で「写真」にある間接的な装置感は薄れた気もします。

現代ではそのような、造語的な翻訳というのは、なくなりつつあるように感じます。それは情報伝達の手段が多岐にわたった結果、造語で翻訳するのではなく、各々が使いやすいように略され、定着したものが広がり増えていったためと想像します。

14はアラビア数字で、漢字だと十四と表記します。これらは全く同じ意味なのでしょうか。使われている文字が違うことにより、付随する意味は当然異なるとしても、やはりその本質的な意味は変わらないように思います。したがって「写真」なのか「光画」なのか以前に、それらしい言葉であることが重要で……。つまり、言葉が先にあって意味があるのか、それとも意味が先にあって言葉が後から付与されるのか。……と、すぐにニワトリかヒヨコか、のようなことを考えてしまいます。14について考えすぎた弊害なのか、数字と意味の関係が行きすぎてしまいました。

……キャンバスを14枚組み合わせたうえで正方形に近くなる比率、それについて考えていたときに出てきた比率があり、それは7:6というものでした。それは写真においてロクナナ比率と呼ばれるそうです。関係ない話ばかりしていても少し味気ないので少しロクナナ比率について調べてみたいと思います。

(……検索中)

調べた結果から申し上げると、自分の写真への知識のなさが明らかになりました……。……それはさておき、ロクナナ比率というものは、アナログカメラにおいて考えたとき、ファインダーでの構図と出力先との構図が近似するという特色のある比率であることが分かりました。それはロクナナ比率の専売特許ということではなさそうでしたが、利便性も加味して考えたとき、やはりロクナナ比率のカメラに軍配が上がるらしいです。しかし、それもアナログである前提の話であり、デジタルカメラにおいては関係ない話なのかもしれません。

私はキャンバスにおいても、14号という大きさを当然のように扱っていますが、デジタルで考えたとき、その大きさというのは画素数に変換されるのかもしれません。したがってデジタル上においては、「大きさではなくて密度」「質量ではなく容量」ということになるでしょうか。少し飛躍しますが、関連して、たびたび「絵画とイラスト」の違いとは何だろうと上の空を見つめます。現時点での私なりの答えは、その違いは側面があるかどうかです。そして絵画より、イラストの方が絵画「的」であるのかもしれない。それはイラストの方が平面性が高いからです。翻って、平面としてどこまで自覚的であるかが、この2つを分けるように現状では考えています。

ロクナナ比率という、ファインダーの枠と出力先が近似するあの比率には、物質(アナログ)から平面のデータ(デジタル)へと変遷していく過渡期の意味合いが、ある種で包含されているように思えます。次に写真を撮るときには、その比率で構えてみたいな、と机上で空論してしまいます。

同じものを指しているはずなのに、呼び方が変わるだけで、少し意味が変わってしまう。私にとっての「14」も、きっとそういうものなのだと感じます。

ちなみに「写真」の総画数は15、「光画」の総画数は14。という感じで、この話を締めさせていただきます。


千々和佑樹(ちぢわ・ゆうき)

1991 年大阪府豊中市生まれ。2012 年東京造形大学インダストリアルデザイン専攻入学後、2014 年絵画専攻へ転科、2017 年卒業。14 という数字/記号をきっかけとして絵画を作り、物体と組み合わせることで絵画を空間的に展開している。また近年は定まっている14 だけでなく流れている14 にも着目し、これから/いま/かつてを含むすべての時間の流れの14 才へ向けての製作を思案し続けている。
主な展覧会に「群馬青年ビエンナーレ 2021」(群馬県立近代美術館、2021 年)、「黄金町バザール 2021」(site-A、2021 年)、「意図とイデアとときどき健康に」(しあわせ美じゅつ店、2025 年)など。あをば荘では、2024 年にグループ展「生き延びるためのラプソディ」(前期展)に出品。

執筆: 千々和佑樹
編集と写真: 佐藤史治(あをば荘)
編集アシスタント: Gemini

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